1) |
は、公害問題が大きくクローズアップされている今日、イオン窒化法は窒化の窒素原としてN2ガス、H2ガスを使用するため、まったく無公害である。ガス窒素はアンモニア分解ガス、塩浴窒化ではシアン化合物が用いられており、これらの廃出物が問題になる。 |
2) |
については、他の窒化法に比べて処理温度が低く、温度幅が広いと言える。ただし、鉄鋼に急激な熱変化を与え、その組織の内外に差異を生じさせると、必ず熱応力、変態応力が発生する。これは機械加工によってさえ生じるので、被処理物のヒズミ変形、寸法狂いの原因になる。したがって、イオン窒化処理をする処理物は、あらかじめヒズミ取り焼鈍ができない場合、少なくとも前熱処理の種類をはっきりと明記することが必要である。 |
3) |
は金型の完成後、窒化処理してそのまま使用できる状態であるため、アトミガキ寸法修正の手間が省け、コスト、納期に低減につながる。 |
4) |
はハードクロームメッキの難しい個所、鏡面仕上げを必要とする個所に大きい効果があり、窒化層はハードクロームほどではないが、ほぼこれに近くメッキの工程を省くこともできる。また、窒化層の最表面を軽く磨くだけで、鏡面状態よりもよりもはるかによくなり、これにハードクロームメッキをした場合より、効果がいっそう大きくなる。 |
5) |
は、ピッキングの防止、パート面の保護につながり、機械的性質の向上をもたらす。 |
6) |
は、低品位材料の飛躍的高性能化が可能であり、これにより高級材料との代替による無理のないコストダウンが期待できる。 |
7) |
は、表面が不動態化膜によっておおわれており、従来の窒化では、この被膜を前処理によって除去した後、窒化を行い、窒化中も表面を不動態化させないために使用ガスの鈍度を吟味する必要があった。しかし、イオン窒化では、常にイオン衝撃により表面が清浄化されており、前処理の必要がなく、窒化中に表面が不動態化して窒化が進行しなくなるようなことはない。但し窒化したステンレス鋼は、硬度は高くなるが、耐食性が低下する。 |
8) |
は、非鉄金属(チタニウム.ジルコニウム系)各種合金金型(精密鋳造金型を含む)が将来安定処理できるようになると、そのライフ強度を伸ばすことが可能である。 |
9) |
では、ガス窒化法により40%前後窒化処理の時間を短縮することができ、納期の低減に寄与することができる。 |
10) |
では、1.0mm以上の細い個所は窒化処理ができ、安定した窒化層を形成する。このようなイオン窒化に向く鋼について、簡単に紹介する。 |
鋼の窒化を容易にして強度を増すために、Cr、Al、Mo、Vを添加する。特にAlは窒化に対する親和力が大きく、鋼の表面強度および耐摩耗性を付与する。また、調質済の鋼を使用することが望ましい。